建設業許可がなくても工事を行うことはできますが、1件の請負代金が500万円未満の工事しか請け負うことができません(建築一式工事の場合は1,500万円未満の工事、もしくは延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)。請負代金が500万円を越えたために請け負うことができなかったということがないように、単価の高い工事を請け負いたいと考えてる場合はあらかじめ建設業許可を取っておくことをおすすめします(許可をとるには時間がかかります)。
また、許可を取ることで社会的な信用度が高まり、新たな販路拡大にもつながります。
一つの都道府県にのみ営業所がある場合は「知事許可」となり、二つ以上の都道府県に営業所がある場合は「大臣許可」となります。「香川県知事許可」は、香川県でしか工事ができないというわけではなく、香川県にのみ営業所があって建設業許可を取得していることを指します。徳島県や高知県など他県で工事をすることもできます。
あくまで建設業法に基づく「営業所」がどこにあるかでどちらの許可をとるのかを判断することになります。
※建設業法に基づく「営業所」とは登記上の支店や工事事務所、事務連絡所等の形式的なものではなく、外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の業務をすることができる状況にある場所、つまり「営業所として実質的に活動をしている場所」をいいます。
元請工事一件につき、4,500万円(建設一式工事の場合は7,000万円)以上の下請契約を締結しようとする場合は「特定許可」が必要です。(※下請契約が複数ある場合は、その総額)それ以外は「一般許可」になります。
◆建設業の種類は、29業種(下記表参照)あります。
01.土木一式工事(土) | 11.鋼構造物工事(鋼) | 21.熱絶縁工事(絶) |
02.建築一式工事(建) | 12.鉄筋工事(筋) | 22.電気通信工事(通) |
03.大工工事(大) | 13.ほ装工事(ほ) | 23.造園工事(庭) |
04.左官工事(左) | 14.しゆんせつ工事(しゅ) | 24.さく井工事(井) |
05.とび・土工・コンクリート工事(と) | 15.板金工事(板) | 25.建具工事(具) |
06.石工事(石) | 16.ガラス工事(ガ) | 26.水道施設工事(水) |
07.屋根工事(屋) | 17.塗装工事(塗) | 27.消防施設工事(消) |
08.電気工事(電) | 18.防水工事(防) | 28.清掃施設工事(清) |
09.管工事(管) | 19.内装仕上工事(内) | 29.解体工事(解) |
10.タイル・れんが・ブロツク工事(タ) | 20.機械器具設置工事(機) |
建設業許可をとるための要件を備えているかを、まずはご確認下さい!
①建設業法に基づく「営業所」が存在すること
常勤役員等(法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人)
②経営業務管理責任者がいること
申請者が法人の場合は常勤役員のうち一人が、申請者が個人事業主の場合は個人事業主本人、またはその支配人のうち一人が、
経営業務管理責任者に該当するいずれかの要件を満たす必要があります。
1)適切な経営体制を個人で満たす場合
① |
常勤役員等(法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人 |
建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者 |
② |
建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)としての5年以上経営業務を管理した経験を有する者 | |
③ |
建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者 |
2)適切な経営体制を複数人で満たす場合
④ | 常勤役員等(法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人 | 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者 | + |
常勤役員等を 直接に補佐する者 |
財務管理の経験、労務管理の経験、業務運営の経験について、5年以上の経験を有する者 ※上記は一人が複数の経験を兼ねることが可能 |
⑤
|
5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者 |
③専任技術者がいること
専任技術者の資格は、国土交通省HPでご確認ください。☞営業所専任技術者となりうる資格一覧はこちら
※資格がない方でも、以下の1)~3)のいずれかの要件を満たせば専任技術者になれます。
1)取得したい建設業の許可業種につき実務経験10年
※実務経験とは、建設工事の施工を指揮・監督した経験や実際に建設工事の施工に携わった経験、あるいは建設工事の注文者側において設計に従事した経験や現場監督技術者としての経験をいいます。但し、工事現場の雑務や事務の仕事は含まれません。
2)取得したい建設業の許可業種に関し、高等学校又は中等教育学校の指定学科卒業+実務経験5年
3)取得したい建設業の許可業種に関し、大学、短期大学又は高等専門学校の指定学科卒業+実務経験3年
指定学科については、国土交通省HPをご確認ください。☞指定学科一覧はこちら
④自己資本が500万円以上あること
500万円以上の残高証明書を添付します。
⑤会社が社会保険に加入していること
元請業者が工事を下請業者に出す場合、下請契約の金額が4,500万円(建築一式は7,000万円)以上になる場合は、特定建設業の許可を取得する必要があります。現在一般建設業許可なら特定建設業許可に変更することが必要です。これは「般特新規」と呼ばれ、新規許可扱いになります。もちろん、初めから特定許可を取得することも、下記の要件を充たせば申請することができます。
①下記の財産的基礎があること
1.資本金が2,000万円以上であること
2.純資産額(自己資本)が4,000万円以上であること
3.欠損の額が資本金の20%を超えないこと
4.流動比率が75%以上であること
※財産的基礎を満たすかどうかは、「直近の財務諸表」で判断されますので、特定建設業許可が必要になったときに、いきなり増資しても、特定建設業許可は取得できないことが多いです。
②要件を満たす専任技術者がいること
専任技術者の資格は、国土交通省HPでご確認ください。☞営業所専任技術者となりうる資格一覧はこちら